霞
飛行機の小さな窓から、蜘蛛の巣みたいに、プラネタリウムで眺める星座みたいに、ちいさな光がたくさん繋がっているのを見た。
狭い機内で、大人や子どもがぎゅうぎゅう詰めで眠っていて、なんだか不思議な気持ちだ。
読み終えた小説のあとがきに、出会いや別れや愛や憎しみよりも、起きて食事して散歩して眠るような日常の出来事にこそパワーがあって、だからこそ人間は希望を持って生きていける、みたいなことが書いてあった。
誰だって、どんなひとだって日常がある。
超能力者だってお風呂を磨く。
熱が出て身体中が痛くても、だんだんと空気やご飯が美味しくなって、親しい人に会いたくなるのを、死ぬまでずっと繰り返していくんだなぁ、みたいなことをぼんやり考えてる。